G プレス | 2016年12月19日
Gプレス シェイク! Vol.6 記事 (5)

シェイク!Vol.6 どうしたら作れる、面白い企画
伊藤隆行(テレビ東京プロデューサー)
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米光一成(ライター)
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佐藤ねじ(アートディレクター)

シェイク!Vol.6 「どうしたら作れる、面白い企画」のトークセッションの模様の最終回は、斬新な企画案とさらに衝撃の展開が待っていました。

まさかのアイデアが続々! テレビ東京の新番組案

伊藤
忘れて喋っちゃいましたが今日はテレビ東京の企画を考えようというテーマでした。もし思いついていたらアイデアをいただければ。


佐藤
先程『真田丸』の裏は辛いと仰っていて確かにそうなんだろうなと思います。そこで、絶対に勝てない番組の裏だからこそ僕が観てみたいなと思ったのは、裏番組が面白いんだったら裏番組を見る番組です。『真田丸』をテレ東さんが観る番組ですね(笑)

『シン・ゴジラ』の発声上映会を観に行ったら面白かったんですけど、これってあるコンテンツをひとりじゃなくてみんなで観るのは体験が違うってことですよね。ワイワイしに行くというか。youtuberの実況放送のように、テレ東さんで『真田丸』を皆で観て盛り上がる番組があったら面白いかなと思います。


伊藤
前向きに検討させていただきます(笑)


米光
『真田丸』だけじゃなくて、他にもいろいろ観たいですよね。


伊藤
『テレ東でテレビを観よう3時間スペシャル』ですね(笑) まず『鉄腕DASH!』を観て、『世界の果てまでイッテQ』も観たいけど『真田丸』も観て、『行列のできる法律相談所』も観ちゃおうみたいな。夢のテレビだ。素晴らしいですね……いや、何言っているんですか(笑)

他に何かありませんか?


米光
新しいスポーツをやりたい。ずっと運動が苦手で学生時代から体育のときは隅っこにいたんですけど、これはルールが悪いんじゃないかと思うんです。


伊藤
難癖つけてきましたね(笑)


米光
サッカーで言うと走るのはしんどいからコートも小さくて3対3のサッカーをやっていきたい。はじめは仲間内でやるけれど、そのうち町内会でやったりとか県大会とか全国大会、最終的にはオリンピック種目にするのが目標。あとはバレーボールの球を2個にしてみるとか(笑) で、それをちゃんと育てていきたい。10年後に体育の授業に採用されたい。少しだけルールを変えるだけで、遊べる人が増えると思うので、いまという時代にあったスポーツを普及していきたい。


伊藤
聴いていて面白い言葉がいくつかありましたが、「普通に」って言葉が面白かったので「普通に馬鹿」ってタイトルがあったら面白いかもなと思いました。あとは「カジュアルチェス」とか「普通にチェス」とか。過去にボードゲームを人間でやるみたいな番組もありましたね。

今日の話をまとめると「ズラす」とか「逆にしてみる」とか「戻す」とかいう発想法が出てきましたので、他にないようなことをやるような実験的な番組をやってみたいなと思います。タイトルは「まさかさかさま」。無駄なことにお金をかけるっていう実験をやっていくような番組を深夜にやったら面白いかもなあと思うんです。

例えば、『勇者ヨシヒコ』はお金がないからああなりましたが、そこで仮にお金がたくさんある『勇者ヨシヒコ』を考えてみたらワクワクしませんか? でも、お金の使い方を間違えちゃうんですよ。盾が純金でできているとか(笑) そういうのを皆で考える番組ができたらいろいろ企画が生まれて面白いと思います。


佐藤
『まさかさかさま』みたいなタイトルってすぐ思いつくんですね。


伊藤
『まさかさかさま』……でも多分こういうタイトルはウケないんで変えます(笑) うまいことしたなってタイトルはだいたいウケないんですよ。

アイデアの出し方についての質問が続々

客席A
アイデアを考えて煮詰まったときはどうしますか?


佐藤
アイデア出しは朝にします。良いアイデアは朝に出るので、煮詰まる前提でプランCくらいまで朝に考えるようにしています。


米光
僕は諦めます。諦めるのはアイデアを出さないということではなくて、良いアイデアが出なくてもとりあえず見せてそのときの反応を見てからアイデアを揉みます。反応が刺激になるので僕は人にどんどん喋っちゃうんです。他の人がやってくれるんだったらそれでいいやってくらいの気持ちで喋っちゃう。そっちのほうが返ってくるものも多いしアイデアが詰まる感じがしない。だからなのかアイデアが出なくて困ったという感じはあまりしないですね。


伊藤
僕もアイデアは人に話しますね。ちょっと思ったことを言って、一瞬空気がスッてなったら「あ、これは無いな」って判断する。どんどん話していくと、その人のリアクションがヒントになったりするんですよ。だから、どんな人に対してもどんどん話します。


米光
「それ、つまらないよ」って言われたとしたら、「じゃあ、もっとつまらなくしたらどうなるんだろう?」とか。何らかの反応が返ってくれば、それが刺激になりますから。


伊藤
万人に受け入れられるものって無いと思うんですけど、いろいろ話していると届ける人間が見えるんです。


米光
誰に楽しんでもらいたいのか見えていないときって結構ありますよね。ゲームって完成するまでは遊んでもらえないので、いつも仮想プレーヤーを想定しないと耐えられなくなるんですよ。

『トレジャーハンターG』っていうゲームは作るのに一年半くらいかかっちゃって、製作期間の後半は遊んでいる暇もないくらい忙しいから誰が楽しむかわからなくなってきちゃって。そのときは菅野美穂さんがラジオ番組を帯で10分くらいやっていて、その番組だけは聴いて「菅野美穂さんが喜べば良い」と思って作っていました。そうやって仮想プレーヤーを想定しないと何のために作っているのか分からなくなっちゃうんですよね。



客席B
自分の思考の癖みたいなものを見つけた時はどうされていますか?


佐藤
僕はゲームの「ロックマン」が好きで、ロックマンはボスを倒したらそのボスの技をゲットできるんです。それと同じように、自分の中に好きなクリエイターとかいろいろな人を飼っているようなところがあって、「いまは誰々をインストールしよう」という感じでインストールする人を変えていくんです。例えば、今日は伊藤さんとお会いしたので、今後は「伊藤さんだとしたらこう考える」とか「千利休だとしたらこう考える」とかロックマンみたいに思考のモードを変えて考えるようにしています。


米光
実は僕はタロット占い師なんです。『思考ツールとしてのタロット』というものをインデペンデントで作っています。これは占いとしてではなくて、発想に煮詰まったときにタロットを使うと良いというものです。

タロットは22枚しかカードがなくて、世界を22個に区切っているんですね。自分で使うときは、22人の自分のリスペクトする人がいると思って使います。例えば、「死神」のカードを引いたら再生・リセットという意味なので再生・リセットが得意な僕のリスペクトする人になりきって考えるということです。「恋人」のカードだったらもっと他の人に話してみよう、とか「月」のカードだったら自分の押し込めている部分を開示してみよう、とか。本当はタロットなしで自分をコントロールして行動できていればいいんだけど、なかなかできないので、ランダムでカードを引くようにしているんです。「死神」のカードを引くとショックですけど、一回断舎離してやり直してみようと思ったりということですね。

伊藤さんはどうですか?


伊藤
僕は何にもこだわりがなくて何でもやっちゃうので、癖みたいなものが不思議とないですね。ただ、恥じらいを捨てようとは思っています。例えば、先程の「ただいま母ちゃん」をやろうとしたら「伊藤はお笑いをやっていたら良いんだよ!」って言う人が絶対出て来るんですけど、僕は胸を張って「ただいま母ちゃん」をやります。そこはいい加減でいいんですよ。「いい加減だ、あいつ」「自分がない」全部褒め言葉だと思ってやっています。

何をやっても評価にさらされる世界なので、「伊藤さんだったらこういうことやるでしょう」みたいに言われることがあって、そういうイメージと戦うようにしています。自分も得意な場所はあるけど、どこかで「あいつ違うやつになっちゃったぞ」って思われるようなことをするようにしているんです。

意識的に凝り固まらないようにしていますし、他の人の言葉を「面白いな」と思ってちゃんと聞くようにしています。ムカつくやつでも絶対良いことは言いますから。「こいつムカつく」って言っても良いんですけど、良いことは受け入れられるようにしないと自分が固まっていっちゃうし良い影響をもらえなくなっちゃうんです。それに、やっぱり対人関係はリスペクトがどこかにないとやってられないですよね。「オマエ、ムカつくなあ。でも、カッコいいなあ」みたいな。下町のおっさんってそうじゃないですか。そういう人間関係を作っていくことを心がけています。

まだまだ話し足りないですが、もう時間のようなのでここで終了とさせていただきます。本日はありがとうございました。

 
<完>
「シェイク!」Vol.6 どうしたら作れる、面白い企画