Gプレス シェイク! Vol.7 記事 (4)

シェイク!Vol.7 「2017年 これからテレビはどうなっていく?」
藤井琢倫( AbemaTV編成制作局長)
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野村和生(FOD事業執行責任者)
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遠藤諭(角川アスキー総研取締役主席研究員)

シリーズ最終回では、これからのテレビを考える上で、いま何が脅威になるのか?さらに具体的な話で盛り上がった。

遠藤
今日は「2017年 これからテレビはどうなっていく?」ということで、テレビの新しい動きに踏み出していこうというテーマだったんですけど、どうなっていくと思います?


野村
長い目で見ると日本の人口の問題が大きいです。少子高齢化で若者が減っている。放送している月9もたぶん20年前だったら、視聴率20%を超えたお化けドラマになっている可能性もあるわけですよ。

例えば、『ドラゴンボール』は平均視聴率20%だったんですけど、同じ国民的アニメの『ワンピース』の平均視聴率は10%を切るか切らないかくらいのところなんです。そういう状況の中で、自分たちがお年寄り向けだけの番組を作っていていいのか?というジレンマはテレビ業界の人だったら誰もが感じていると思います。そんな中で配信をやっている自分としては、配信側でしっかりこぼれた人(若者など)を拾っていきたいと思っています。

また、番組が似てきているような気がします。前は各局それぞれの特色があった。いまは毎分視聴率も見ることができてテクニックもそれぞれついています。そんな中で、制作側はテロップの出し方が良かったとかテクニック論に走ってしまっているように思います。結果的に視聴者から見たら同じような番組が多くなってしまっているんです。


遠藤
フジテレビとしては老人化しているテレビを、ネット配信でカバーするという方針だということですが、実際はどうでしょうか?


野村
プラスセブンの売上が無視できない大きさになってきました。来年度はおそらくひとつの事業として成立するようなイメージです。ただ、全番組でできていないという課題があります。配信に向いているバラエティ番組が少ないというのも課題ですね。


遠藤
ネット配信と地上波放送のバランスが変わると思っているということですか?


野村
きっと地上波放送をネット配信のFODが補完できる形になっていくと思っています。例えば、TBSさんの『逃げ恥』だと10話の配信数やタイムシフト視聴率が減っています必ず。最終回に向けて生で観たいという人が少なからずいたということです。ネット配信をきっかけに地上波を観るということも起きているんです。

『逃げるは恥だが役に立つ』配信数と各種視聴率の推移

プラスセブンを2年間やってきましたが、まだ認知が足りない部分があって、今後はこれがより広められると思っています。『逃げ恥』までいかなくとも良いコンテンツが出るたびにベースの配信数が増えていくだろうと。

AbemaTVさんについて言えば、テレビ端末に進出したことはテレビ局にとって脅威ですね。AbemaTVはほとんどテレビ端末で観ていますみたいな人がユーザーの半分以上になったときに、テレビ朝日さんが何て言うのかなと(笑)


藤井
でも、僕はテレビ端末にネットがつながっている人はまだまだ少ないと思います。人口の1%くらいだと思うんですけど。


遠藤
いや、そんなことはなくて博報堂さんやアスキー総研のデータでも全体の20%くらいはいっています。地方との差はありますが確実にテレビのネットへの接続数は伸びていますよ。


野村
とはいえ、実はテレビの本当の脅威はAmazonプライムビデオですよ。テレビ端末を1万円くらいで売り出したり、サイマル配信もどうぞと色々な手で、格安でユーザーを囲い込んで市場を独占した後に、高いお金を払いなさいみたいなことをしてきそう。Amazonは200億~300億くらいコンテンツ取得費にかけていると思いますけど日本事業で黒字なわけないでしょう。


遠藤
Amazonはそもそも赤字でいいといってずっとやっている会社ですから。では、ほかにもNetflixやHuluなど海外の配信会社とFODさん、AbemaTVさんとの関係はどうなっていくと考えていますか?


野村
FODはとしてはオリジナルコンテンツをつくり、囲って、守っていくしかないと思っています。


遠藤
でもそれってみんな言っていますよね。


野村
それを突き詰めていくしかないかなと思っています。FODは会員数を増やすためにコンテンツをある程度閉じて、他の場所にあまり提供しないでいるんですけど。TBSさんはあちこちにコンテンツを提供して売り上げを出しています。一番儲かるやり方ではありますが、それをやると自分がインフラ(=放送局)ではなくなってしまうんです。Amazonは『高い城の男』など良いコンテンツを作ってもいますが、外部に依存するのは良くない面もあるので、慎重にならざるを得ないです。



遠藤
映像端末がテレビ以外にスマホなどいくつも出てきました。サービスも同様です。そんな中でAbemaTVさんはかなり独特だと思います。スマホでリアルタイムで映像を流すというやり方は世界的にも他にない。そんなAbemaTVさんと、NetflixさんやHuluさんとの関係はどうお考えでしょうか?


藤井
ライバルとは全然思っていません。できれば宣伝のためでいいのでチャンネルをつくって配信したいくらいです。素晴らしいオリジナルコンテンツがたくさんあるので。

最近、Amazonさんの攻めの勢いが増しているように思います。独占契約をかなりしている。Amazonでしか観れないコンテンツを2017年はどんどん増やしていくのでしょう。


遠藤
アメリカにはオーディエンスエディターという、SNSを使って読者を伸ばすソーシャル報道官みたいな職業があります。FODさんとAbemaTVさんにはそういったソーシャルの担当者みたいな人や部隊はいるのでしょうか?


野村
専属の人はいないですね。片手間でやっています。


藤井
AbemaTVは、Abema TIMESというオウンドメディアメディアみたいなものを作っています。AbemaTVの番組映像の事後PRパブのために、放送内容を記事にしていろんなニュースメディアに提供しています。その他にも、ソーシャルアカウント運用を専門で行う部隊もいますし、機能の側面でも、AbemaTVでコメントしたものがTwitter連携で投稿できまして、一般の方が200万件くらいツイートしてくれて、そこからの流入が結構あります。

Abema TIMES:https://abematimes.com/
AbemaTV 公式Twitterアカウント https://twitter.com/abematv



遠藤
テレビというデバイスは今後どうなると思いますか?


野村
ただのモニターのようになっていくと思います。地上波のシェアはほかのゲームなどに一部奪われていくでしょう。いまはユーザーの可処分時間の取り合い、スマホ画面の取り合いみたいなことが起こっていますが、これが今後テレビ画面の取り合いになっていくと思います。なぜかというと、広告で言えばテレビの広告が見直されているんです。テレビ広告は何十億というレベルで投下できれば確実に効果を出せますんで。


遠藤
そういう意味では、テレビという端末は、モニターのひとつとなっても強いということでしょうか?


野村
インターネットにはPVを稼ぐためだけの仕組みがあるとか健全じゃない部分も多くて広告を打っても無駄打ちになる部分があると思っていて、テレビは効果測定はしにくいですが事実としてリーチしているのが分かるので、そこは今後も強い部分だと思います。

質疑応答

客席A
藤井さんにお伺いしたいです。サイバーエージェントとしてのこれまでとこれからの投資額は伺っていますが、テレビ朝日さんとの関係性があまり見えません。ひょっとして投資額の赤字はサイバーエージェントさんがすべて被るのか、それともテレビ朝日さんも出資分の40%分の赤字を負担するのか。200億の意思は誰の意思なんでしょうか?


藤井
基本的には出資分で負担する、ということだと思います。ですが、社長の藤田の覚悟としてはすべての赤字を背負う覚悟でやっています。


遠藤
AbemaTVを日本のテレビ局全部で出資してやったらいいじゃないですか? テレビのアイデンティティを考えるとリアルタイムで放送することの意義は大きい。でも、配信となると先ほどの同時接続の問題もあります。それなら、民放5局で出資してAbemaTVからAbemaTVを取り上げるようにしていけばいいと思います。これって素人の妄想でしょうか?(笑)


野村
もともとテレビ局同士って仲が良くないんです。TVerのスキームもなかなかすごいですからね。例えば、もっとTVは電通さんが率いていたんですけど民放5局の意図がまとまらず終わってしまいました。そういう意味ではTVerは「民放5局でやるんだ」ということでまとまっているのはすごいことです。


遠藤
でも、Amazonが迫ってきていますからね。


野村
元通信事業者の人間から言うと、最後は固まります。外圧が来ると固まるんです(笑)


客席B
野村さんがおっしゃっていた「フジテレビには配信に向いているバラエティ番組がない」の配信に向いているバラエティ番組って何でしょうか?


野村
まず、コント番組です。はねるのトびらとかリチャードホールとか。そして、いま自分が配信したいのは『アウト×デラックス』(毎週木曜日の23:00 – 23:30放送のトークバラエティ番組)なんですけど、これが配信できない。はっきりしているのはマツコ・デラックスさんと有吉さんです。この二人の番組を押さえれば配信数は大丈夫です。


遠藤
そろそろ時間のようなので、ここで終了とさせていただきます。本日はありがとうございました。

「シェイク!」Vol.7 2017年 これからテレビはどうなっていく?

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