• 芸能人・有名人ブログとテレビコンテンツについて/テレビ番組における 動画の活用について

芸能人・有名人ブログとテレビコンテンツについて/テレビ番組における 動画の活用について

スマートフォンの普及や動画視聴の増加などユーザーのインターネット利用動向が変化していく中、テレビ番組のPRでのインターネットサービスの重要性が高まっています。株式会社サイバーエージェントの梅本拓馬さんに「芸能人・有名人ブログとテレビコンテンツについて」、株式会社GYAOの鈴鹿直樹さんに「テレビ番組における 動画の活用について」を語ってもらいました。

Gプレスvol.154 2017年7月28日、電通ホールで開かれた講演 より

梅本拓馬さん

株式会社サイバーエージェント

2009年、サイバーエージェント入社。広告事業本部大阪営業所、中国四国営業所の立ち上げなどを経て、新規事業開発室で複数の新規メディアを担当し、現在アメーバブログ事業責任者を務める。

鈴鹿直樹 さん

株式会社GYAO

大学卒業後、音楽雑誌の編集を経て、2006年にヤフー株式会社入社。 トップページやスポーツ編集のリーダーに着任後、2014年より現職。

※役職等は収録当時のものです

■株式会社サイバーエージェントの梅本拓馬さんの講演より

成長続けるアメブロ

現在のアメーバブログは月間3000万人が利用する国内最大級のブログメディアとなっており、スマホにシフトしてからは、主軸となるアメーバアプリでの利用者が増加し、対前年比20%の成長を続けています。成長を支える一つの軸として芸能人有名人ブログの利用が挙げられます。現在約2万人の芸能人、有名人がブログを開設しており、月間40億PV、前年比30%の成長を続けています。
まず、一般ブログでは、一つのことに特化する専門ブログがかなり注目を集めており、特に専門分野に特化したトップブロガー約400人をコンサルティングしていますが、「好き」を高じて情報発信しているトップブロガーはファンを獲得しやすく、月間100万PVを超えるような方が数十人います。トップブロガーの中でテレビ出演が非常に増えており、例えば「マツコの知らない世界」(TBS)に、パンの専門ブロガーやコンビニスイーツの専門ブロガーが出演し、ほかにも地鶏、いなりずし、ハリネズミ、インテリアの専門家ブロガーなど、かなりニッチなところも含めてこの1年間出演が増えてきています。テレビ以外に書籍化も増えてきており、年間で40〜60冊の書籍が出版されています。

ファンに自分の思いを伝える芸能人・有名人ブログ

芸能人・有名人ブログの利用の変化を見ると、10年ほど前はタレントのプライベートがのぞけるのはアメブロのみで、急成長を果たしましたが、近年ツイッターやフェースブック、インスタグラムといったSNSの芸能人の利用が当たり前になってきました。その中で芸能人自らSNS のソーシャルブランディングを行い、ソーシャルメディアの細かい使い分けをするケースが増えています。
ブログは、断片的な情報ではなく一つの考えをまとまった内容で伝えられるというストック型のメディアとしての特徴があります。ブログで自分の思いをストーリーで伝え、それをSNSで拡散するという、使い分けがなされています。
ファンに自分の思いを伝える代表的な事例として、小林麻央さんを筆頭に、芳根京子さん、鈴木亮平さん、波瑠さんらがファンとのコミュニケーションを積極的に行っています。例えば、等身大の姿に多くの共感を集めた小林麻央さんのブログ、自分の言葉で出演作について綴る芳根京子さんは1614日間ブログを連続で書き続けたというところで話題になりました。
出演した作品を独自の視点で面白く伝えている鈴木亮平さんは、映画「変態仮面」出演時に同名のラーメンを出しているお店に来たということがアメブロ内でも話題になりました。ブログのストーリー性の価値というとこがかなり見直され、タレントに限らず一般人のブログ投稿も反転してきており、成長の兆しが見えています。

テレビとタレントブログの相乗効果

ユーザーがブログの情報をどのように摂取しているのかというと、一つ目はアメーバアプリ中心とした摂取、これはファンの方が非常に多い。二つ目が検索エンジン、三つ目がソーシャルメディアから、四つ目はニュースメディアから情報摂取をしています。どのようなタイミングで一番ユーザーに情報が届くのかというと、やはりテレビ番組の出演時が一番です。例えば、アニメ「けいおん」のあずにゃんなど多数のキャラクターを演じてきた人気声優の竹達彩奈さんは、テレビ出演時にブログのPV数、来訪者数が大幅に上昇しました。流れとしては、番組告知をブログで行い、放送後も番組で話していた大好きなハンバーグについての記事を投稿し、アメブロ内で話題になり、その後もテレビ出演の反響をブログで綴っていき、ユーザーの共感、ファンの醸成につなげています。
ブログで告知をして話題化し、ファンを獲得して定着し継続的なコミュニケーションを生み、次のテレビ告知を行うという流れで、しっかりとユーザが積み上がっていく形になり、テレビとタレントブログの親和性は非常に高く、相乗効果があると考えます。
二つ目の大きなタイミングは放送日。福士蒼汰さんがドラマ「ウチのカノジョがすみません!」(日本テレビ)で話題作りをした事例で、番組内での 女性芸人との絡みを「彼女ができました」とブログにアップすると、ニュースで非常に話題になり、ブログに多数のユーザーが訪れ、番組PRにつながりました。ブログで話題化→テレビのPR→ファンが増え定着→ファンとの継続的なコミュニケーション→次のテレビの告知という流れをブログで仕掛けていく形です。

アメブロのファンをテレビへ、テレビからファンをブログへ

現在、IPGとのテレビコンテンツとアメブロの連動の検討を進めています。2万人の芸能人ブログ、40億PVの規模、専門家ブログのコンテンツを元に、アメブロ内でアメーバトピックスという形で提供し、1日1000万タップされています。このトピックスを中心にテレビコンテンツと番組情報をかけ合わせて、リアルタイムでアメーバ内外問わずユーザーの気持ちが熱いうちに情報を届けようと考えています。番組放送時には、このトピックスが目立つようになったり、お知らせをしたりという連携をプラットフォーム全体でやって行くという形で、現在の手動で実施しているのが、「ドラマ連携ブログ」として「人は見た目が100パーセント」(フジテレビ)、「クライシス 公安機動捜査特捜班」(関西テレビ)です。
これまでにテレビとタレントブログの相乗効果がインパクトを残せた事例としては、「砂の塔〜知りすぎた隣人」(TBS)があり、狙いとしては公式的なニュースでなく、よりライトな出演者のニュースで話題化を狙った施策でした。アメブロ、テレビの番組宣伝担当者、出演者の協力でうまくいった事例で、アメブロとしては、PRと話題化のサポートを行いました。アメーバトピックスを中心に、ブログ更新のタイミングでトピックス化を促し、アメーバ内3000万ユーザーをブログに誘導しました。出演者の佐野勇斗さんが自発的に熱意を持ってブログを書いたことで、他の出演者も一緒に写真を撮ってくれるなど、コンテンツづくりに協力してくれました。若年層にはやっている「SNOW」という自撮りアプリを活用して、話題化、ニュース化をしたこともヒットにつながっています。
また、ブログを含めたPRの許諾を事前に取っていたのが、非常にスムーズ進んだポイントでした。狙い通り公式的なニュースではなく、ライトな出演者のニュースが話題になり、アメブロ内の総合ランキングも2位でした。さらに弊社のブログオブザイヤーを佐野さんが受賞して、結果的にドラマの PR につながりました。ニュースメディアの掲載実績は約3300本、広告換算で約4000万円となっています。
アメブロとテレビ番組情報が連携して、ユーザーが相互に利用する仕組みを構築し、ブログを通じて、アメブロのファンをテレビへ、テレビからファンをブログへという形を作りたい。さらにテレビ出演情報を利用した広告の開発や、タレントブログと番組表の連携も視野に入れています。

■株式会社GYAOの鈴鹿直樹さんの講演より

番組情報を伝えるYahoo!テレビ

GYAOは映像配信サービスを運営しているヤフーのグループ会社です。無料の動画配信サービス、1本単位で動画が視聴できる有料サービス。そして Yahoo!映像トピックスといって、社内にいる編集者が面白いと思う映像を自分たちの切り口で記事するにサービス。映画の情報を届けるYahoo!映画、そして今日のメインであるGガイドの番組表をお伝えするYahoo!テレビを運営しています。
Yahoo!テレビは番組検索や番組に関する情報、出演者のインタビューなどを提供しております。ユーザーは PCからスマートフォンの利用に移行しています。番組情報は、出演者やジャンルで検索ができたり、動画や画像で番組を探すことができたり、出演者のインタビューやテレビ番組ニュースを提供しています。

動画の増加で「読む」から「見る」メディアに

3年前にもこの運用連絡会でGyaOとして報告しましたが、その際ポイントを二つお伝えしました。一つ目が 「Yahoo!JAPANで動画を始めます」ということでした。 Yahoo! JAPANでは、ニュースに代表されるようにテキストと画像の情報を読むというユーザー体験がメインだったところを、動画をもっと増やしていくことによって、「読む」から「見る」メディアに変わろうとやってきました。訪問ユーザーが動画視聴のコンバージョンにつながるようにサイト構造も変えてきました。3年間に市場が変化し、動画に触れるユーザーが増え、そこに広告の市場も増え、動画広告市場はこの先5年間で3倍になると見込まれています。
Yahoo!JAPANとしてもいろんなサービスで動画を導入してきました。3年前の段階では動画はまだほとんどありませんでしたが、いろいろなパートナーから動画も提供していただくようになりました。代表的な所では、Yahoo!ニュースでテレビ局から短くしてもらったニュース番組を配信し、スポーツナビではプロ野球やJリーグ、大相撲のダイジェストを見ていただけるようになりました。 Yahoo!天気災害情報では、単なる天気の情報だけではなく、キャスターが立つお天気番組として提供するなど徐々に動画を増やしてきました。
Yahoo!ニュースのトップページで、「日テレNEWS24」の動画を24時間再生するサービスが数カ月前からスタートしました。Yahoo! JAPANのトップページでも同じ動画を提供できるようなったのですが、現在は負荷の関係で1%のユーザーのみにテストして、今後拡大していく予定です。
スマートフォンのYahoo!JAPAN アプリは、タイムラインで記事や動画を読めるUIに変わっています。この中で動画が自動的に再生されるような作りにしました。タイムラインは、ユーザーが見た記事からデータを解析して、ユーザーの趣味嗜好と動画の元データをマッチングさせるパーソナライズ行って、動画を提供しています。

120万PVの番宣動画も

3年前から Yahoo!テレビでも番宣動画を増やしてきました。Yahoo!テレビの番組表詳細ページに動画を置くだけでなく、サービストップに誘導枠を設置したり、動画一覧を作ったりしてユーザーを送る仕組みを作っています。GYAOとしては、Yahoo!テレビだけでなく、 Yahoo!映像トピックスというサービスで記事化をして、さらに多くのユーザーに映像を広げようとしています。番宣ではないが、放送終了後に見逃し配信として映像配信サービスなど、様々なところでユーザーに映像を提供して、番組を認知してもらい結果的に本放送に回帰してもらえればいいなと考えています。
今年1月に「ジョブチューン」(TBS)で前田健太投手が2000万円の腕時計をしているという1分の番宣動画を配信しました。弊社の編集者が、大変面白いのでこのシーンを切り取ってユーザーに伝えたいということで、「マエケンの腕時計の値段にスタジオ騒然」という見出しで記事にして、Yahoo! JAPANトップページの「ネットで話題の無料動画」という枠で掲載すると、約120万PVを獲得しました。Yahoo!テレビだけでなく、Yahoo! JAPAN全体で、いろいろな掲出場所を用意することができると考えています。

動画の促進で本放送への視聴回帰に

最近のYahoo!テレビのトピックスとして、3月中旬ぐらいから1カ月間、 Yahoo!テレビのトップページでも動画を流してみようとさまざまな種類の動画を流しました。これを強力なユーザーと動画のタッチポイントを作れると考え、テレビ局から入稿していただいた動画を Yahoo!テレビのトップページに掲出をして、直近に放送される番組の動画をユーザーに提供して認知を上げます。 今後もYahoo!テレビでは動画を促進していきたいと思います。特に番組表と親和性の高い番宣動画はユーザーにも受け入れやすいので、露出面を増やして、ユーザーとのマッチングを促進し、本放送への視聴回帰につなげていきたい。動画の入稿を増やしてもらい、Yahoo!テレビだけでなく、Yahoo! JAPAN全体での露出を増やしていきたいと思います。

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