株式会社プレゼントキャスト 代表取締役社長

※役職等は収録当時のものです

川原崎祐司さん

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株式会社電通 データテクノロジーセンター

※役職等は収録当時のものです

前川駿さん

G プレス | 2018年3月12日
Gプレスvol.158 更新

民放公式テレビポータル「TVer」のご紹介 + / テレビの視聴率は減少傾向としても、なぜテレビ広告費は堅調推移なのか?

TVerアプリが1000万ダウンロードを達成するなど、キャッチアップサービスの重要性が高まっているなか、株式会社プレゼントキャスト代表取締役社長の川原崎祐司さんには民放公式テレビポータル「TVer」のご紹介を中心にした話、株式会社電通データテクノロジーセンターの前川駿さんには、「テレビの視聴率は減少傾向としても、なぜテレビ広告費は堅調推移なのか?」について語っていただきました。

Gプレスvol.158 2018年1月26日、電通ホールで開かれた講演 より
川原崎祐司さん

株式会社プレゼントキャスト 代表取締役社長

前川駿 さん

株式会社電通 データテクノロジーセンター

■ 株式会社プレゼントキャスト代表取締役社長の川原崎祐司さんの講演より

《プラットホームに成長したTVer》

民放公式テレビポータル「TVer」について説明します。TVerでは、オンエア終了後のテレビ番組を、1週間を原則に、無料で広告付きで動画配信するという、キャッチアップサービスを展開しています。多くの方にご利用いただき、アプリのダウンロード数は1000万に到達しました。
なぜ今キャッチアップサービスを展開しているのか。スマホやタブレットの普及によって、視聴者のメディア接触の方法は変化してきています。そのため、テレビコンテンツを違法にアップロードしている動画投稿サイトの問題も出てきました。「いつでも」「どこでも」「どのデバイスでも」映像コンテンツを届けられる環境が整ってきているなかで「プレミアムなコンテンツを公式に届けていく」という「3ANY戦略」は、無視できないものとなっています。
現在TVerでは、8つのテレビ局と連携しています。在京民放5社にくわえて、在阪3社が参加しました。まだ始まったばかりのサービスで、ローンチしたのは2年ちょっと前、2015年の10月です。2016年の12月ごろに、500万ダウンロードに到達しました。当初は50番組程度が視聴できましたが、現在は150から多い時で200番組程度を見ることができます。毎日多くの番組が更新され、コンテンツの幅が広がっています。
月間動画再生数は2300万を超え、マンスリーのアクティブユーザーは600万を超えました。1年前の数字を見てみると、動画の再生数はちょうど半分ぐらい。マンスリーのアクティブユーザー数は3分の2ぐらい。かなりの勢いで数字が増えてきています。
アンケートによると、利用の目的は「見たい番組があるため」が一番高く64.9ポイントなのですが、「面白そうな番組を探すため」28.9ポイント、「なんとなく時間つぶしのため」28.5ポイントの合計が、57.4ポイントになっています。テレビ的な利用のされ方というのでしょうか、番組を見るためのプラットホームとして徐々に定着をしてきていると見ることができるでしょう。
見たい番組という目的を持ってユーザーが来訪するTVerでは、完視聴率が高く、長尺のものでもきっちり見ていただけています。これは広告もしっかり見られていると言えるでしょう。
一方で、番組数が増えたことで、ユーザーが様々なコンテンツに容易にたどり着くことが難しくなってきました。この課題解決のため、昨年の8月にUIの大規模な変更をしました。ユーザーが今見たいと思っているコンテンツによりたどり着きやすく、新たに見たいと思うコンテンツにより多く出会うことができる、わかりやすく使いやすい導線を設けたUIに変更しました。TVerの入り口にホーム画面を新設し、「大特集」「マイリスト」「ランキング」「特集」「ジャンルごとの特集」などのセクションを設けています。視聴履歴や、ユーザーが登録した番組やタレントなどのデータ分析をもとに表示される「あなたにおすすめ」のセクションもあります。
また、キャッチアップだけでなく、リアルタイム放送へと誘導する取り組みも行っています。TVerに来訪する月間約600万のユーザーのデータを蓄積し、メタデータと行動データを掛け合わせて分析します。この人はこの番組が好きだろうと推測して、リアルタイムへ誘引するための有料プロモーションを行ったりしています。

《平昌オリンピックでのgorin.jpの取り組み 》

gorin.jpとは、在京5局による民放テレビオリンピック公式競技動画として、オリンピックのハイライト映像やライブストリーミングを、ウェブやアプリで配信するサービスです。2008年の北京オリンピックから始まって、5大会連続で配信しています。前回の2016年リオデジャネイロ夏季五輪では、2737本の動画を公開しました。2月に開幕する平昌大会においても、全競技について、動画を中心にさまざまな情報を配信予定です。競技そのものをフィーチャーしたページや、ライブストリーミングによる競技動画の配信を計画しています。
特に今回、平昌大会では時差がありませんので、昼間に外出していてテレビを見られない方がgorin.jpを見て、やっぱりオリンピック面白いなと思って、家に帰ってテレビを見る、というふうにテレビ視聴に繋がればいいなと思っています。
平昌大会での取り組みとして、600時間のライブストリーミングのうち、注目競技は実況解説付きでお送りする予定です。また、TVerとも連携して配信する予定です。「Gガイド・テレビ番組表」とも連携して、番組表からgorin.jpのサイトに遷移し、コンテンツを楽しむことができます。
ユーザーがgorin.jpによって様々な情報に接することで、テレビ視聴に帰っていく機会になればと思っています。

《専門性の高いテレビ情報サイトScreens》

2016年12月からβ版を運営し、2017年12月に正式にローンチしました、Screensというサイトについて説明します。
Screensは、「あらゆる映像メディア、とりわけテレビの可能性や価値を今一度見つめ直して、客観的にそれを実証していくプロジェクト」であり、サイトです。広告主である宣伝部の方々がテレビについて情報発信できるサイトを目指して運営しています。専門性の高いサイトではありますが、ユーザー数も徐々に増えていっています。
サイトでは興味を引きそうな「注目記事枠」「特集枠」を上部に設置しています。また、ビデオリサーチの協力のもと、中央下部には視聴率情報を載せています。ユーザーに日々来訪してもらうため、定期的に記事の更新をしています。
β版の際は、テレビの施策や取り組み、テレビを取り巻く環境を、客観的なデータで記事化することで、テレビメディアのプレゼンス向上に寄与すること図り、まず地盤を固めていきました。
今後はさらに、テレビの広告メディアとしてのプレゼンス向上に寄与できるような記事を目指します。広告主である宣伝部や事業部の方のインタビューや、取材にも取り組みます。
記事に関しては、客観的なデータを元にテレビの実績を感じさせるもの、テクノロジーを紹介してテレビの未来を感じさせることを目指しています。
ローカル各局の取り組みにもフォーカスし、「地域と密着したテレビの施作」「海外番販」「キー局との取り組み」について、インタビュー取材、イベントレポート、リリースといった形で記事を掲載しています。
最後に、プレゼントキャストについて少しだけご紹介を。「テレビコンテンツにさらなる価値を見出し届ける」というブランドビジョンのもと、「作る人に機会を、見る人に出会いを」というブランドプロミスを掲げて活動しています。少しでも放送業界の皆様に様々な形で貢献できればと思っております。


■ 株式会社電通データテクノロジーセンター前川さんの講演より

《テレビの視聴率は減少傾向としても、なぜテレビ広告費は堅調推移なのか?》

HUT(総世帯視聴率)を見てみると、2018年以降、特にティーンやM1の減少傾向が見受けられます。一方で、10~30代のデジタルプラットフォームの利用率は8割を超えます。LINEやYouTubeの利用率は、20代30代で90%に到達している結果も出ています。
ところが、テレビの広告費は下がっていません。デジタル環境の変化があるにも関わらず、テレビの広告費は維持、もしくは微増の傾向にあります。それはなぜでしょうか?

《テレビCMは到達単価が安い》

環境変化においても、テレビ広告費が変わらない理由を考えるにあたり、テレビCMが、なぜ広告主の方々から支持されているのか、そのポイントを考えてみたいと思います。デジタル動画広告と比較した場合、到達単価が安いことが挙げられます。たとえば女性30歳から69歳に絞ってメッセージを千人に届けたいというときに、全テレビCMで392円、他デジタルメディアでは1700-1800円となっています。

《テレビとデジタルにおける到達の質の違い》

テレビ広告とデジタル広告で、認知率はどのくらい変わるのでしょうか。
デジタル広告は、媒体、広告フォーマット、メニューによってさまざまですので、一概に比較はできないのですが、記憶に残る、動画を認知するというパワーでは、デジタル動画と比べてテレビCMのほうが高いという結果が出ることが多いです。
《キーとなるのは説明責任》
つまり、マーケティングファネルの中のリーチや認知において、テレビCMには届ける力(リーチ効率が圧倒的に安い)と見せる力(リーチの質が良い)が強いことが分かります。
その強さについて説明責任という観点から、テレビCMとデジタル広告の違いを見てみましょう。広告を見た人の動きを、「広告到達(広告を見る)」「心理変容(見た人の気持ちが変わる)」「KPI(実際にスポンサーの商品を買う)」の3ステップに分けてみます。
テレビCMは、広告を到達させることを取引指標にしていて、KPIへの影響は不明瞭のままです。一方でデジタル広告は生まれが逆です。クライアントさんのサイトに来訪した、とかクリックした、コンバージョンしたというCPA/CPCを指標がメインとなってきました。クライアントの売り上げに近い指標で、非常に広告主にとって管理がしやすい。

《デジタルプラットフォーマのビューに対する取組み》

2018年、デジタル業界が結束して「ビューの価値の再定義」をしようと動き始めています。デジタル業界では、広告を届けるということ関しても、真摯に取り組むために、問題点を透明化しながら、きちんと改善していきますという意思表明を感じます。
デジタル広告に関しては、業界全体でアカウンタビリティ解決の方向に動いているのが2018年の特徴です。

《最強のマーケティング装置へ》

一方、テレビCMに関しても、クライアントのKPIに対してどれだけ貢献するのかを示していくタイミングだと考えています。業界全体で説明責任に取り組み、PDCAサイクルを回す。テレビCMは圧倒的なメディアパワーを持つのですから、それを証明し、あるいはそれを改善する仕組みを作ることによって、最強のメディアであるだけでなく、最強のマーケティング装置になると思っています。
これまでテレビVSデジタル/データの構造で語ってしまいましたが、これからはテレビwithデジタル/データの視点で、データをどう使ってテレビの価値を示せるかを考えるのが重要ではないかと改めて思っています。

《テレビwithデータの取り組み》

電通のグループ会社であるAmplifiニューヨークでAdvancedTVに積極的に取り組んでいるAnthonyに話を聞きました。
Advanced TVにも色々なパターンがあります。そのなかでも、この2年間で伸びている、クライアントからの評価の高い2つのマーケットがあるそうです。
ひとつはPROGRAMMATIC TV。枠のプランニング、入札、出稿、キャンペーン管理、レポーティングを自動化することで、多様化する広告主のKPIに沿った策案ができる体制です。デモグラ(8階層)ではなく、ターゲティングしてテレビのCMの買い付けを行う仕組みになっています。性、年代の階層だけじゃなく、行動や地域属性などのターゲットで、番組のスポットをバイイングできる仕組みを放送局自らが主導して推進しています。
もうひとつがADDRESSABLE TV。ケーブルテレビの契約者データを活用した世帯単位のターゲティング手法です。視聴者の属性を特定して出し分けて配信します。インターネット結線のテレビで実現可能な仕組みです。CMに接触した世帯と接触していない世帯がはっきりするので、それぞれごとにCMの効果がどう違ったか、世帯単位で行動を追えるわけですね。PDCA可能なところが評価されているというお話でした。

《7対2対1の法則で広げていく》

海外の事例を聞いて印象的だったのは、テレビをデジタルメディアのようにターゲティング+PDCA可能な媒体と捉えて使っていることです。
でも、通常のテレビというのは、ターゲティングをしないからこそ世の中のモードを作ったり、新しいお客さんが振り向いたりすることもあるわけです。
その点についても話を聞きました。テレビのターゲティングをしないポジションは確かに他のメディアにはできないが、ターゲティング+PDCA可能な媒体としても、テレビはNo1のポジションを取れる。7対2対1の法則と話していたんですけれども、地上波の普通のテレビは7割でやりましょうと。PROGRAMMATIC TV のような特殊なセグメントで作るものは2割で。ADDRESSABLE TVのようなものは1割で。そうやってテレビ局自体がバランスを取って動くことで、テレビの領域をデジタルメディアのほうまで広げていこうというお話でした。

《可視化されはじめたテレビの力》

では日本でできるのか? むしろ、日本のほうがメディア主導でできる環境にあると思っています。たとえば、インターネットに結線されているテレビから、放送局がデータ放送を介して、見ている人のデータを取ることができる環境になりつつあります。データが大規模であるがゆえに、テレビを見た人がサイトに来訪したか、ものを買ったかどうかが追える。
一見遠かった「広告を見る」と「ものを買う」の関係性が見えてくる。もちろん、テレビを見た瞬間に買うことはなかったにしても、その30日後に買ったことを証明するデータも今なら揃えられるんじゃないでしょうか。
実際に弊社でも、大規模なデータを分析して、CMを見た人が実際に何人サイトに行ったのか、どれぐらい店舗に行ったのかを解析できるSTADIAというエンジンを作っています。
STADIAで、テレビCMによって質の高い視聴者をクライアントサイトに送客できたことを可視化できました。たとえば、とある広告主のCMに接触した人がどの程度、その広告主のウェブサイトや実店舗に来訪したかを可視化することができるようになってきました。
テレビwithデータ/デジタルの取り組みとして、まず、大規模な視聴ログデータを集め、第一歩として、日々の広告活動のなかで、テレビを起点としてテレビCMを見た人が実際どうなったかを、発信していくことが重要ではないかと思っています。

《データで番組スポットを最適化する》

最後に、大規模視聴ログデータを活用した番宣施作案として、ふたつ可能性を提示させていただきます。
ひとつは番宣スポットの最適化。インターネット結線のテレビのデータがあれば、他のデータと突合させることができます。それはもちろん、ユーザーの許諾や、プライバシーは守った上でなんですけれども。アンケートをかけることもできます。行動データからは見えてこない意識もあると思うんですね。例えば今クール、ドラマを見るか迷ってるという行動は、なかなかログからは出てこない。それをアンケートで聞いてしまうと。そこで、迷ってる人が実際にどの時間帯にCMを見ているかがデータからわかるので、限られた番宣枠に対して、一番いいところにはめられます。当てた人たちが実際に本編を見たかも確認できるので、PDCAを回していくこともできると思います。
いまは分析や調査にコストがかかりますけれども、近い将来、簡単にできるようになるだろうと予測しています。

《有料出稿媒体の効果検証》

もうひとつは、有料出稿媒体の効果検証です。新聞やGガイドモバイルなどですね。
G ガイドのアプリ「プレミアム・ジャック」の広告接触がどれぐらい視聴率アップに寄与しそうかを分析してみました。Gガイドモバイルのプレミアム・ジャックに接触した人と接触していない人では、対象番組の本編を見た割合は上がっています。
番組表は、テレビ視聴にとても近いところなので、そこでコミュニケーションすることによって、当然視聴の誘引はありえると思うのですが、どれぐらいリフトアップしているのかを可視化することによって、広告活動自体に工夫が生まれてくるのがいいところだと思います。単に場所をはやく押さえるだけではなくて、どう改善するかを考えていける。
実際にGガイドモバイル広告の投資対効果を計算してみました。
プレミアム・ジャック1回あたり40万円で30万人に到達するというお話が媒体資料にあったので、それを元に計算します。30万人に到達したうち、8.6%の人が番組を見たことがSTADIAの分析を通じてわかりました。G ガイドが番組に1人を連れてくるのにかかっているコストっていうのは、(媒体費40万円÷(30万×0.086)なので、15.5円と計算できました。
1人に見てみてくださいって15円払って、40万人に同時にそれが行われてるという状態なわけですね。この単価と関東の人口から世帯視聴率を1%上げるのに必要なコストは、(約4,000万人 × 1%(世帯)×0.45(個人) × 15.5円)なので288万円となりました。
逆に、ここはかなりえいやっと乱暴に計算してみるんですけれども、仮に2時間番組で視聴率を1%あげた場合に、どれぐらい回収できるかをCM の量から算出しました。仮に番宣をやるぐらいいい時間帯の特番を想定し、%コストを30万円とすると、
(120分 × 10%(CM分数割合) × 60/15(15秒換算GRP)×%コスト 30万円=1,440万円)
だいたい1440万円ぐらい。全部売れればそれぐらいのお金になります。
つまり、1%上げるのに288万円が必要だが、それが1440万円分の在庫を生み出しているという計算になります。で、これをもう少し精緻に考えてみます。
CMを見た人のなかには元々見るはずだった人も含まれているかもしれないので、明らかにGガイドきっかけで見てくれた人だけに絞ってみました。
その場合は、もともとGガイドの広告に接触していない人がテレビを見た割合が、7.8%だったので、Gガイドの広告に接触した人が8.6%だったことと比べると、その差である+0.8%だけをGガイドのおかげだと計算することができます。G ガイドが番組に新規視聴者を1人を連れてくるのにかかっているコストっていうのは、
(媒体費40万円÷(30万×0.008)なので、166円となります。新規視聴者を1%連れてくるには、約3,000万円の出稿が必要である計算です。視聴率が1%上がると、1440万円の分の在庫が生じるということから考えると、ROIが半分ぐらいになってしまいます。しかしながら、完全に新規の視聴者を1人連れてくるということは、タイムテーブルに対して連れてきている状態なので、その前後枠も含めて継続するだろうことも考慮すると、投資に対して同じくらいのリターンが返ってきている、というような計算ができたりします。このようにデータ上では、G ガイド広告は、直前のリマインドとして、見る確率が高い人、あるいは見る確率が低い人含めて連れて来る。そういう意味では十分に費用対効果が説明できている。新しい視聴を生み出す媒体としては、なかなか合わない場合もあるんですけれども、前後枠の影響も加味してタイムテーブル全体で見れば、ROIが上がっているという分析結果になります。
まだこれは荒削りなので、実際の分数や CM の量で変わってくるとは思いますが、こういう考え方をすることで改善していけることが重要だと思っています。

《新しいデータという武器を手に》

昔は世帯視聴率が「生活者よし、広告主よし、コンテンツ制作者よし」の三方を成り立たせるためのデータとして存在していました。今では、広告主の求めるものが多様化し、生活者の様式も多様化しているので、世帯視聴率だけでは、三方よしにならない時代です。
今日の話はあくまでCMの話であり、番組制作に持ち込むべきではないと思うのですが、視聴率とは違う新しいデータを捉えて、広告主に寄り添っていく取り組みをすることは、重要ではないかと、代理店の立場として思っています。
最後に、山口周さんの『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』という本を紹介します。
経営者が判断するときには3つの要素がある。それはサイエンスと経験と美学であると。データだけで判断するとみんな同じ答えになって、レッドオーシャンに飛び込んで奪い合いになり、新しいことは結局生まれないという話でした。このお話を聞いて、データに携わる人間だからこそ、強く思うのは、データは、あくまで手段。この世の中に全てを可視化・把握できるデータなど、当然存在しておらず、データで分かることは真実のほんの一つの側面です。しかし、データは使い方によっては、迷っていた方針や分からなかった現象について、意外な仮説を示唆します。繰り返し見ていくことで、その仮説は確信へと変わっていきます。その積み重ねこそが、マーケティングや事業の判断に迷った時に、企業に新たな収益をもたらす英断を導いてくれるものと思います。
データを過信せず、自分にとって何の役に立つのかという視点で向き合った人こそが、データの恩恵を得られるのだと思います。

[完]